瑞龍寺「こころの杖」ー魂

こころの杖 −魂−

今最も求められていることは本来の自分に帰るということである。では本来の自分の姿とは何か。それは魂と共に生きるということだ。静かに心と体と呼吸を整 えて太古の昔から細胞に組み込まれているリズムを呼び戻し、大自然と一体となって考え感じて生きることである。ちょっと観念的で解りにくいかもしれない が、二十世紀の科学は余りにも物質的なことばかりに目を向けすぎて、物質と物
質の間にある空間の価値を蔑ろにしてきたのではないだろうか。空気や水、或いは人と物質との間に存在するもの、これこそが重要な問題なのだ。おそらく二十 一世紀は今まで殆ど顧みられることのなかったこの〝空間〟に人が気づき、これと大自然の持つ哲理とを、いかに調和させてゆくかが最も大切な課題になるに違 いない。そこに〝安らぎ〟の原点が見つけられるのではないだろうか。